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肉、野菜、魚、炭水化物

お砂糖とスパイスとなにか素敵なものなんかで出来てない人間

寂しさを埋める方法

11月の頭に恋人の誕生日だった。

彼の誕生日を祝うために、新幹線も通っていないどうしようもない田舎から電車を乗り継いで新幹線に乗り換えてから約4時間かけて恋人の住む街まで会いに行った。

約一ヶ月ぶりのデート、なにを話そうかなどと考えて彼のくれたお気に入りのワンピースに袖を通して出かけた。本当は夜行バスで行ったほうが電車の乗り換えもないし安いのだが、まだわたしの精神的な安定もなく、5時間以上もバスに乗っていられる自信がなかった。彼の地元まで着くまでの時間、4時間なんて家にいればあっという間なのに、地獄のように長く感じた。お気に入りの音楽をヘッドフォンで流し、新幹線の中で景色を見ながら気を紛らしていたら前の席に座っていた赤ちゃんがわたしの手を握ってきた。

まるでわたしの不安を感じとられたかのようで、わたしは純粋で無垢なその小さな手に触れることも罪悪感があるのに、そのわたしの気持ちなど知りもしない無邪気な笑顔に思わず少し泣いてしまった。なんでこんな大人になってしまったんだろう。情けない。

彼の地元についてからのデートは、無言だった。いままで絶え間無く続いていた会話が続かない。ずっと携帯ゲームと睨めっこされていた。わたしはなんのためにここまで来たんだろう。一生懸命考えたプランは思うように進まず、遣る瀬無さを感じた。おもちゃに飽きた子供みたいに、わたしのことなどなにも興味がなくなってしまったみたいで寂しくなった。三日間一緒にいたけど、それは変わらなかった。

帰るときにもう二度とこの街に来ることはないような気がして、悲しくなって彼の前でシクシク泣いてしまった。彼はびっくりしてどうしたの、と訊いてくるけど、わたしは寂しくなったとだけ答えた。悲しそうに笑いながら寂しいのはお互い様だよって言ってきた。

わたしの帰りの電車がくるまでの時間、三日間で一番色々な会話をした。それが余計悲しく、辛かった。帰り際、彼と改札のところで自分の可愛さからか、優しさからか、絶対自分を傷付けたり死のうなんて思ったりするなよ、とわたしに言ってきた。もう死んでしまいたかった。目の前で死んでしまいたかった。彼のトラウマとして一生癒えぬ傷として、ずっと存在したい。そんな薄汚くグロテスクな感情を抱きながらわたしは4時間かけて地元へ帰った。

彼から後日、誕生日の時はごめんと謝られたがやっぱりメンヘラ同士で付き合うのは良くないなと改めて痛感した。